エッセンシャル思考

役立つ知識

「世の中の大半のものはノイズである」

商業デザイン界の巨匠、ディーター・ラムスの言葉です。

【ラムスのデザイン】
24歳のとき、ラムスはレコードプレイヤーのデザインを担当することになります。当時のレコードプレイヤーといえば、重厚な木の覆いがついたものが一般的でしたが、ラムスは、無駄な装飾をすべて排除して、透明なプラスチックのカバーがついているだけの、シンプルすぎるデザインを提案します。当時は誰もそんなものを見たことがなかったので、絶対に売れないだろうと思われていましたが、結果的にラムスのデザインしたレコードプレイヤーは、世界中に大きな反響を呼び起こし、現在の標準的なデザインに繋がっていきました。

ディーター・ラムスは、自らのデザインに対する考え方をドイツ語で「Weniger,aberbesser」、すなわち「より少なく、しかしより良く」としています。

エッセンシャル思考

今回はグレッグ・マキューンの「エッセンシャル思考」を読んでそのエッセンスをまとめました!
グローバル化などによって個人が取れる選択肢が急激に増えた現代において、「選択する」ことの重要性を分かりやすく解説してくれています。

一時期は本屋さんでもよく平積みされていたので知っている方も多いかと思います!読んだことのない方はぜひ読んでみてください!おすすめです!!

エッセンシャル思考とは

マキューンは現代を「欲ばりの時代」としています。

「全部手に入れよう、全部やろう」とするうちに、私たちは知らず知らず何かを失っています。自分の時間とエネルギーをどこに注ぐか決められずにいるうちに、誰か(上司、同僚、顧客、家族等々)が私たちのやるべきことを決めてしまっているということです。そうして思考停止に陥り、自分にとって何が大事なのかわからなくなります。

マキューンは自分で選べない人は、他人の言いなりになるしかないのだとしています。

エッセンシャル思考を身につけるためには、選ぶという行為に自覚的でなくてはならない。選ぶ力は自分だけのものであり、何者にも奪えないということを理解しなくてはならない。エッセンシャル思考の最初の一歩は、「選ぶ」ことを選ぶことだ。

そのために直視しなければならないのが「トレードオフ」です。
リーダーシップ論の権威ジョン・C・マクスウェル「ほとんどあらゆるものは、徹底的に無価値である」と述べています。また著名な経営学者であるマイケル・ポーターは「戦略的ポジションは、別のポジションとのトレードオフなしには維持できない」と述べています。

非エッセンシャル思考の人は、トレードオフが必要な状況で「どうすれば両方できるか?」と考える。だがエッセンシャル思考の人は、「どの問題を引き受けるか?」と考える。

経済学者のトーマス・ソエルは「完璧な答えなど存在しない。あるのはトレードオフだけだ」と言いました。つまり、「何をあきらめなくてはならないか?」と問うかわりに、「何に全力を注ごうか?」と考える必要があるということです。

4段階の思考

エッセンシャル思考は「今、自分は正しいことに力を注いでいるか?」と絶えず問いつづけ、自分の時間とエネルギーをもっとも効果的に配分し、重要な仕事で最大の成果を上げるための思考法です。

その思考法は大きく「見極めて」「捨てて」「仕組み化する」という3段階に分けられます。

「見極める」

本当に重要なことを見極めるために必要なのは次の五つです。

  • じっくりと考える余裕
  • 情報を集める時間
  • 遊び心
  • 十分な睡眠
  • 何を選ぶかという厳密な基準

エッセンシャル思考における集中とは、100の問題をじっくり検討できるだけのスペースを確保することです。それは目の焦点を合わせる作業に似ています。ひとつのものに固執せず、つねに視野全体を把握して焦点を調整するイメージです。

LinkedIn(リンクトイン)のジェフ・ワイナーCEOは、毎日合計2時間の空白をスケジュールに組み込んでいる。その時間には何も予定を入れない。相次ぐミーティングに振りまわされ、まわりが見えなくなるのを防ぐためだ。

また何をするときにも、すぐれたジャーナリストのように、本質を見抜く目を持たなくてはならないとしています。要点に目を向ける訓練をすると、これまで見えなかったものが見えてくる。点の集まりではなく、点同士をつなげる線に気づくことができます。

遊びはストレス軽減や創造性の刺激、脳の高度な機能を活性化につながります。
厳密な選考基準に関しては、最重要基準をひとつ用意し、その基準に従って選択肢を100点満点で評価します。ただし90点未満の点数は、すべて0点と同じと見做し不合格にするのです。」

TEDの人気スピーカー、デレク・シヴァーズ。彼は自身のブログで、「もっとわがままにノーを言おう」と主張している。中途半端なイエスをやめて、「絶対やりたい!」か「やらない」かの二択にしようと言うのだ。

捨てる

大事なのは目標を「かなり明確」から「完全に明確」にすることです。

まず最初に切り捨てるべきは、やろうとしている意図にそぐわない行動だ。これを実現するためには、自分がどんな目的に向かっているのかをとことん明確に定義しなければならない。

立てるべきは本質目標です。これは具体的であること、魅力的であることが条件となります。大きな意味があり、しかも測定可能なものを本質目標として正しく決めれば、その後の無数の決断が不要になります。

そしてもう一つ大事なのが「断ること」です。

人はノーと言う勇気のある人を高く評価し、尊敬するのだ。あらゆる依頼を断れと言っているわけではない。本当に重要なことをやるために、本質的でない依頼を断るのだ。肝心なのは、絶対にやるべきこと以外のすべてに対して、上手にノーと言うことである。

仕組み化する

まず大切なのはバッファを取ることです。バッファ(緩衝)とは、2つのものがぶつからないようにするためのものを言います。簡単に言うと「余裕を持って物事を進めること」です。感覚としては時間などを1.5倍に見積もることです。

思わぬことは起こるものだと知っているから、あらかじめ何かが起こることを想定して予定を立てる。万が一に備えてバッファをとり、予定外のことがあってもペースを取り戻せるようにしておくのだ。

また、エッセンシャル思考の人は仕事を減らすことによって多くを生み出ます。具体的には次の3ステップが重要です。

  1. 目指すことを明確にする
  2. ボトルネックを特定する
  3. 邪魔なものを取り除く

さらに「最小限の進歩を重ねる」ことも必要だ。

「実用最小限の進歩」というやり方を取り入れてみよう。「重要なことをやりとげるために、最低限意味のある進歩は何か?」と考えるのだ。

心理学者のフレデリック・ハーズバーグは人の意欲を高める2つの主要因が「達成」と「達成が認められること」であると説きました。だからこそ進歩を感じられるように小さな努力を重ねることが必要です。

そして最後に挙げられているのが習慣化です。

習慣は妨害に打ち克つための最強の武器だ。習慣がなければ、数知れぬ誘惑に勝つことは難しい。だが本質的な目標に向かう行動を習慣づけてしまえば、無意識のうちに目標を達成できる。

終わりに

本書は「より少なく、しかしより良く」と言う言葉に尽きると感じています。書ききれなかった内容もたくさんあるので、ぜひ読んでみてください!


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